2021.12.12 08:30【SQX】もくじ世界樹の迷宮X『真昼の星を掴むまで』序章第一迷宮 1 ハローレムリア 2 東土ノ霊堂 3 エンカウント第二迷宮 1 五人目の女 2 赤い邂逅 3 獣王君臨第三迷宮 1 密林survive 2 ゴースト・アドベント 3 獅子奮迅第四迷宮 1 少年少女樹海お悩み相談室 2 彼方の背を...
2021.12.12 08:27【SQX】終章「……あれ?」 目を開けると白い空間だった。エノクは首を傾げる。はて、自分は確か瘴気に呑み込まれた筈で……いや、その前に自分とエレオノーラを守る障壁を張った筈で……。「心配するな。全部うまくいった」 唐突に聞こえてきた声に顔を上げる。声の主……少年はいつものようにすぐ傍に浮かんで...
2021.12.12 08:23【SQX】決戦・我が魂の咆哮を聞け ──閃光。 引き裂くような音を立てて地を走る雷が、焼けるような痛みと共に足首にまとわりついた。弾丸を装填し直そうとしていた銃士が唸るような声を漏らして膝をつこうとする。「ロイ! 駄目! お立ちなさい!」 凛と澄んだ声が辺りに響く。銃士はぐっと奥歯を噛みしめ、倒れそうになるのを堪...
2021.12.12 08:14【SQX】決戦・ふたり見た夢の果て 地の底から瘴気が噴き出している。槍を突き立てた魔物の息の根が止まった事を確認して、少年は辺りを見回した。 世界樹の根本に張られた封印術式は悲鳴のような軋みを上げ、間もなく崩れ落ちようとしている。深淵の姫君の命はあともう少しで尽きるだろう。蛇はそれを察知している。人間達の動向など...
2021.12.12 08:08【SQX】14-10 此処にある総ての正義 『ウルスラグナ』が出発したのは正午になろうという頃だった。連れ立って第十四迷宮へと向かっていくニーナ達の背中を見送りつつ、サヤはうーんと伸びをする。その姿を横目に、隣に立っていたヘンリエッタが溜息混じりに呟いた。「お前は緊張とかしないのか」「緊張な~。どういう感じかイマイチ分か...
2021.12.12 08:05【SQX】14-9 世界でいちばん青い空「げっ! クソババア!」 と、そんな声が聞こえた次の瞬間には、モモコは腰に差していたナイフを鞘ごと取り外してぶん投げていた。回転しながら飛んでいったナイフは一瞬の間を置いて声の主の額に直撃する。狭い廊下に濁った悲鳴が響いた。床を跳ねた得物を回収しつつモモコはふ……と鼻で笑う。「流...
2021.12.12 08:02【SQX】14-8 前夜 足音に気付けたのは、とても眠れるような心境ではなかったからだ。枕元のランプを手に取り、エレオノーラは急いでテントを飛び出す。「ヘヴィ!」 ……今宵の月は分厚い雲の向こう側だ。小さなランプの灯りではごく狭い範囲しか照らせない。橙色に浮かび上がった景色の向こう側にその人影はある。目...
2021.12.12 07:59【SQX】14-7 かくて錠は開く「──ネロ?」 急な音に驚いて暴れだした魔物を掃討し、ベースキャンプへ戻ってきたヘヴェルは、心許なげに辺りを見回した。魔物と戦っている内にネロとはぐれてしまった。先に戻っているかもしれないと思ってここまで来てみたが、当てが外れたようだ。 彼は優秀な術師だが、魔物の蔓延る森に一人で...
2021.12.12 07:56【SQX】14-6 ヒーロー 例えば彼女が、囚われの姫君であったり、優しく献身的な村娘であったなら、何かが変わっていたのかもしれないけれど。 残念な事に彼女はそのどれでもなくて、世界の誰も彼女を顧みなかったものだから、そんな素敵な物語はいつも絵本の中の線のあつまりでしかなかった。高い窓から見える青が、重い扉...
2021.12.12 07:54【SQX】14-5 MANA 初めて見る景色だ。半ば引きずられるようにして歩きながら、マナは視線を彷徨わせる。 ここがどこなのかも、どうやって来たのかも分からない。大きな袋に詰められて運ばれ、やっと外に出された時には既に知らない場所にいた。見たことのない木々、知らない色の花々、不気味な鳥の声。時折見える岩壁...
2021.12.12 07:51【SQX】14-4 災厄の箱 第十四迷宮の攻略も佳境である。妙に息の合った連携を仕掛けてくるパインの群れや寝てない獅子の魔物達と命を懸けた殴り合いを繰り返し、『スターゲイザー』はやっとの思いで迷宮最深部へ辿り着こうとしていた。「もう一生パイナップルなんて食ってやらん……」「パイナップルに罪は無いだろ……」 ...
2021.12.12 07:48【SQX】14-3 ロストワン「ふーん。それじゃあ、ここでエノクくんを探してたんだ」 チエリの問いに、ヘヴェルはひとつ頷いて応えた。 採集場所の謎の視線とやらの真相だが、紐解いてみれば随分と簡単な話だった。採集にやって来る冒険者達を陰からこっそり見ていたのは、ヘヴェルだったのである。「この辺り冒険者いっぱいい...