2021.12.11 04:37【SSQ2】もくじ新・世界樹の迷宮2 クラシックモード『蒼天へ到る路』序章一層編1 新人ギルド、金策に奔走す 2 騎士と猛獣3 新しい仲間4 メシエカタログ5 あなたの理由 わたしの理由二層編6 ハイランドの兄弟7 いつかの今日8 燃える緋の森9 ある一日10 I want to say...
2021.12.11 04:22【SSQ2】終章「……彼らは、永遠の命を得たのね。この街でずっと、語り継がれる命を……」 ◆ 大公宮の応接間は広く、二人で話をするには少々持て余してしまう場所であるように思えた。いや、問題は広さだけではない。腰を下ろしたソファーは信じられない程柔らかく、一見簡素に見える調度品や装飾のひとつひ...
2021.12.11 04:20【SSQ2】25 蒼天へ到る路 まるで、悲鳴のような。 穿たれた衝撃に硬い床が軋んで割れる音を聞きながら、ロアは額から垂れてきた汗もそのままに眼前のそれを睨み付けた。鉛色に輝く巨大な卵のような何かが低く鳴動しながら宙に浮かんでいる。あの不可思議な物体こそが天空の城の主──オーバーロードそのひとなのだという。人...
2021.12.11 04:18【SSQ2】24 右手に剣を 心に歌を チアキの左腕は切断する事になった。指先から肘の下まで黒く焼け焦げた腕はもはや治療できる見込みはなく、放っておけば壊死が広がってしまうだろうという診断だった。担ぎ込まれた薬泉院でツキモリ医師からそれを聞かされたチアキは、一瞬も躊躇わずにならば切ってください、と応えたそうだ。 昏倒...
2021.12.11 04:17【SSQ2】23b 煉獄「……セト、どうしたのかな。最近ずっとおかしかったけど、ここのところ輪をかけて変よ」 ぽつりと呟いたロレッタの言葉に、彼女の隣に腰を下ろして荷物の整理をしていたチアキが眉を下げる。「そうだな……前のおれみたいに、変に思い詰めなければいいが」「セトがいないと戦力的に困るしね」「そう...
2021.12.11 04:15【SSQ2】23a 総ての正義のために 崩れ落ちた巨獣の身体は力なく硬い床に横たわっている。全身に大小様々な傷を負い、血を流す獣の顔は苦悶の表情のまま固まっていてぴくりとも動かない。オーバロードとやらの口ぶりからすると、この獣も三層に住まう氷姫と同じくかつては人間で、冒険者であったらしい。彼か、それとも彼女か。城の主...
2021.12.11 04:13【SSQ2】22 魔弾の射手「お前らを探してた……この三年、ずっと!さあ吐け、あいつはどこだ?」 女の胸ぐらを掴み上げながらセトは怒りと憎悪の滲む声で問う。鬼気迫る表情で詰め寄られ、苦しげな吐息を漏らしながらもユディトはその口元に微かな笑みを浮かべた。 幸か不幸か、街の郊外へと向かう道に二人以外の人影は見ら...
2021.12.11 04:12【SSQ2】21 かえらず 迷宮十九階を歩いていたバルトロメオは、通路の突き当たりに転がる『それ』を見て静かに目を細めた。辺りは不気味な程に静かだ。猛り狂う『怒れる猛禽』の攻撃に巻き込まれまいと姿を隠していた魔物達は、まだ危険が残っていないかと様子を窺っている最中らしい。幸い、それが魔物に食われた痕跡は無...
2021.12.11 04:10【SSQ2】20 I love you, my dearest. 悲鳴を天高く響かせながら、翼を失った天空の女王は花弁の舞う青空へと墜落していく。その姿を見送り、武器を収めた『白妙の花冠』の傍らに翼人の長──カナーンがゆっくりと降り立つ。「……よく、やってくれた」 辺りに散らばった極彩色の羽を見てすっと目を細め、彼は呟くように言う。「これも全...
2021.12.11 04:09【SSQ2】19 淵よりの警鐘「すいませーん……って何だ、君達もいたのか」 探索帰りの所々汚れた格好もそのままに、診察室に入ったセルジュはそう言って目を丸くする。採集部隊は今日は休みだという事は承知していたが、全員が揃ってここにいるとは思っていなかった。ソファに腰かけて茶菓子をかじっていたモモコがおかえりなさ...
2021.12.11 04:08【SSQ2】18 右手の背徳「……ふと思ったんだけど」 崖下に見える青空と桜の花を見下ろしながら、ロレッタが首をひねる。「落ちていったカエルやサイって、次の日には戻ってきてるじゃない?あれ、落ちていったやつと同じ個体なの?」「ああ……言われてみれば……」 十七階を走り回っているサイもとい『突き進む犀角』、そ...
2021.12.11 04:06【SSQ2】17 ダンス・ウィズ・ミー! 今日は祭りである。 何の祭りかと訊かれても、大半が公国の外からやってきた余所者である冒険者達にはよく分からないというのが実のところだ。しかし由来は分からずとも祭りは祭りである。公国の民もそうでない者も皆一様に飲み食い踊りどんちゃん騒ぎをする──ハイ・ラガードには年に何回かはそん...